地域の愛されライターになるために

開始1分足らずで、受講生は前に立つ講師に釘付けになり、ドッとわく笑い声。

一瞬で教室にいる全員をトリコにしてしまったライター講座3回目の講師は、岡山からいらっしゃった浅井麻美さん。
今回の講義は文章を書く「テクニック」というよりも、「地域に愛される」ということが大きなテーマになっているので、宮崎でライターを目指す受講生にとって、そそられる内容が多かったのではないでしょうか。

ワークが一切ない120分の講義でしたが、自虐ネタ満載の浅井さんが歩んできた人生にそって進む講義が面白く、最後の質問タイムではひっきりなしに手が上がりました。それでは早速、ご紹介します。

 
(表情豊かで、とってもチャーミングな浅井さん)

東京育ちのライター、岡山に移住する

浅井麻美さんの何が面白いって「経歴」。大学を中退し、宝島社に入社するも自分探しのため退職。その後、タワーレコードに就職し24歳でフリーペーパー「TOWER」の編集長を5年務め、結婚を機にフリーランスに転向。そこに突然おとずれた「3.11」。

「私たちはもっとかっこよく
 もっと賢く暮らしたい
 生活の延長で仕事をしよう
 そうすれば矛盾は起きないはずだ」

そう震災後に気づき、ノリで岡山県瀬戸内市に移住。「田舎へ来てしまったらライターの仕事はもうできないだろう」と思っていたそうですが、これが斜め上なライター人生の始まりだったのです。

愛されライターに必要なもの1:「地域愛」

岡山から愛を叫びたくなった

子供と田んぼの中で過ごしたり、地元の人と交流を重ねるうちに、広くみんなに「地域愛」を伝えたい欲が芽生えます。時代のニーズにあって、人を笑顔にする「地域ライター」になろうと、ふと思い立ったそうです。

愛されライターに必要なもの2:「名乗り」

ナンバーワンであり、オンリーワンと言い切る

「私ライターなんですよ」
「岡山なら、私に任せてくださいよ〜」

そんな風に言い切っていると、面白いように地域のメディアから声がかかるようになり、書くメディアが増え、デザイン、コピーライター、チラシパンフレト作成、そしてFM岡山の番組ディレクター、行政の仕事もするようになっていました。

そして今年、地域で培っていたスキルが東京から欲しいと言われ、「TURNS」の編集長に抜擢されます。気がつけば、地域そのものを語る「地域ライター」になっていました。

愛されライターに必要なもの3:「地域に愛される」

一回限りで終わってしまう仕事はしたくない

地域ライターの取材先は、「生まれた場所でもなく、住んでいる場所でもない、心の拠り所になるような場所。」と浅井さんは話されていました。好きになったその場所についてもっと知りたいし、もっと役に立ちたいし、もっと時間を過ごしたい。そんなふうに地域を愛しているうちに、浅井さんは地域に愛されるようになっていったのでしょう。

読者は本物と真実の価値にしかお金を払いません

そして最後の最後に、文章を書くテクをお披露目してくれました。浅井さん曰く、ライティングとは、面白い記事を書くことが目的ではなく、読者に情報を伝えて、「買う、行く、聞く、知る、参加する」などのアクションをしてもらうことが目的。メディアはその手段にすぎません。

ありがたいことに、地方には本物がたくさんあり、重要なのはその価値を高めるコンテンツ作り。メディアは面白くなければ意味がなく、読まれなければもっと意味がないからです。

最後に、アドバイスを2つ教えてくれました。

「地域の仕事は断らない
 暮らしだから

 東京の仕事は選ぶ
 消費されないために」

東京で暮らした経験や、現在も仕事を受けながらも、岡山に腰を据えて暮らしている浅井さんだからこそ、私たちに伝わってくる言葉の数々。生活の延長にある「地域ライター」として、地域に愛をこめて生きているからこそ、人の心を動かす文章や、人を惹きつけるコンテンツ作りができるのでしょう。

ライターの枠にとらわれない、書くことの可能性を感じる講義でした。

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