ミクロな視点で地域を伝える

ライター養成講座の第4回目のゲストは、月刊「ソトコト」の編集長、指出一正さんです。

さて、ソトコトといえば2017年10月号では、「地域を育てるソーシャルビジネス」というテーマで宮崎で活躍する方々の取り組みがトップに取り上げられました。そこで表紙に写られていた受講者の方が、指出さんのご紹介をするところから始まりました。

実は指出さん、講義が始まる前から会場にいる受講者にふらっと話しかけ、とっても自然に場に馴染んでおりました、さすがです。講義中も柔らかい物腰ながら、時折ぽろっと出る自虐ネタと毒舌に、受講生もじわっと笑っていました。

 

ミクロな視点で地域を見る

指出さんは編集長ながら自ら現地に足を運びます。なんと週2日は東京で仕事をして、あとの週5日は中山間地域に面白い人を訪ね歩いています(そして週4日は講演活動をしており、本人曰く「しゃべり過ぎ」なんだそう)。

そんな指出さんは今回、「編集という考え方」の前に、「物事を見つめる視点」が大切だと初めに話されました。「若い人が地域から離れている」など、そんな大きな視点で物事を考え発言するのは専門家に任せればいいとのこと。相対的なことは、誰でも簡単にいくらでも言えるのです。柔らかいものを取り上げるのは簡単。難しいことを難しく語るのも簡単。そうではなく、ミクロな視点で地域を見て、難しいものをスルーせず、社会的に弱いものをどう伝えるかが肝心だと話されていました。

 

完璧な編集者にならない

編集で欠かせないのが「台割り」と呼ばれる、「設計」 ともいうべきもので、編集の際、どのページがどこに来るのか、全体では何ページになるのかを組み立てる作業のことを言います。指出さんの作られた台割りは、鉛筆で手書きで書いた、なんだかふにゃふにゃした図。これにもどうやら意図があるそうで、「編集者が完璧でなくてもいい」という考えからスタッフに「隙」を見せているそうです。

受講生から「どういう手順でページを構成していくのですか」という質問が上がりました。これに対し「まずはタイトルを考えます。だからスタッフにも、タイトルが二転三転するような編集者にはなるなと伝えています。」と指出さんは答えられていました。「1日1タイトルで日記を書き、タイトル書きの練習するのもオススメですよ。」と、アドバイスをくださいました。

 

起承転結を意識する

1つの特集の中で、起承転結を意識して構成を考えているそう。例えば、2017年10月号の宮崎の特集では、「起」は地域商社を取り上げ、「承」では各地で活躍しているキーマン、「転」で視点を変えヘベス農家をピックアップし、「結」で地域プロデゥーサーにしめてもらう。こうして抑揚をつけることで、一つ一つのストーリーが生きてくるのです。

また最後に、「雑誌全体で起承転結を意識していますか」という質問もあがりました。指出さんはこれに対し、「前は意識していました、それこそどこに広告ページを挟むかまで。でも、現在はソトコト全体で起承転結をガチガチに意識していません。今の人たちは自分の興味があるところをパラパラっと読む程度。だから、それぞれの読者が興味ある特集を何個か読んでくれれば、ソトコトの使命は果たせていると思っています。」と話されていました。

(僕のスライドはオープンなので、どんどん撮ってシェアしてくださって構いませんと受講生に伝えたら、みんな遠慮せずパシャパシャ撮っていました。)

 

160文字ですべてを伝える

記事の導入の役割を果たすリード文は、記事が読者の目に留まるか、また記事を最後まで読んでもらえるかを左右する重要な部分。だいたい160字にまとめられ、これはまとまった意味を伝えるのに最適な文字数と言われています。実際に、指出さんが書いたリード文を参考にしながら、「難しい言葉は使わない」「簡単な言葉を組み合わせ飽きさせないように書く」「ひらがなを多用する」「具体的なことを入れる」「160文字の中で抑揚をつける」「デスマス調を破綻させ、デアル調と組み合わせる」など、様々なテクニックを教えてくださいました。(失敗のリードも見せ、「編集長も失敗のリードを書くので安心してください」とみんなの笑いをとっていました。)

編集とは。例えるならば、朝起きてから寝るまでの日々の繰り返しを、1日らしく削っていく行為とも言えます。タイトルと同じく、日々の日記を160文字でつけるのもいい練習になると教えてくださいました。

 

自分自身が表現者にならない

取材をしていれば感動することも多くあるでしょう。伝えたくなる気持ちも山々でしょう。しかし、そこに編集長の気持ちが入りすぎてはいけません。あくまでも編集者であって、表現者ではないのです。取材先で出会った様々な光景を切り取って、読み手の読者がワクワクする内容を作り上げるのが編集のお仕事なのでしょう。

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