参加性のある文章は、共感を生む

ライター養成講座5回目の今回は、NPOグリーンズ代表の鈴木菜央さん。「ほしい未来は、つくろう。」をテーマにしたWebマガジン「greenz.jp」の編集長をつとめ、ものづくりから防災まで、日本各地で幅広い分野の社会の担い手を取材し、記事にして毎日発信しています。

どしっと芯のある思いを語りながらも、やわらかい雰囲気でお話をすすめる菜央さん。(みなさんに「鈴木さん」というよりも「菜央さん」と呼ばれていたので、ここでもそう呼ばさせていただきます。)

菜央さんが初めに受講生にむけ、「みなさんどこから来られてるのですか?」と聞くと、1/3は市内まで1時間以上かけて来ているそう。中には日向から2時間かけて来られている方もおり、ライティングが上手くなりたい気持ちが伝わってきました。

共感を集める記事を作るプロセス

SNSの「いいね!」やシェアの数で、「共感」が可視化されるようになった今、多くの方が共感に繋がる文章を意識的に書いているでしょう。その中で、グリーンズでは通常ならシェア数などを表示する場所に、ページの最下部までスクロールされたらカウントされる「読了数」という数字を出しています。きっとこれは単に「共感の数を増やしたい」というのではなく、「一つ一つの記事をきちんと読んでほしい」というグリーンズの姿勢なのだと感じました。そして、グリーンズ流の共感を集める記事を作るプロセスを教えてくださいました。

1、記事を出した結果、起こしたい現実を決める
ーなんとなくで始めると、あとで後悔します。

2、誰に届けたいかはっきりイメージする
ー近い友達を思い浮かべて、ペルソナにします。

3、その時に起こるべき読者の経験を決める
ー読了後「こんな暮らしもありか〜やられた〜」と思わせ、家に帰った時に何かやりたくなってる状態を思い描きます。

4、そこから逆算して、どのような記事にすべきかを決める
ーやっと、書き始めます。

記事は、実際に書くまでにかかる時間の方が長いもの。見切り発車で書き始めた記事は、読者の心には深く届きません。

 

記事を届けるものも読むものも、命の時間を使うこと

ライターの世界にも、上には上がいるけれども、書く技術では勝てなくても、取材先を調べまくって、今までの取材では聞けなかったような、真剣に相手の本心を引っ張り出すような、そんな愛ある取材は、ベテランでなくてもできます。取材先で「あなたに取材してもらってよかった」と言われたら、なんと嬉しいことでしょうか。それはライターへの信頼だけでなく、メディアへの信頼に繋がります。

同じ時間を過ごすならば、愛ある時間を過ごしたいものですよね。それは、取材を受ける人も、記事を書く自分も、それを読む読者も同じこと。愛を持って取材をして書いて、愛を持って届けましょう。

 

参加性のあるメディアになるために

菜央さんは続いて「共感を集める記事を作るための問い」を紹介してくださいました。ここでは、ポイントとなることをいくつかご紹介します。

Q,単純か

同じことを伝える時、文章量は少なければ少ないほど、どんどん素晴らしくなります。字数が少なくても、本質を伝えることはできます。

それは、タイトルにも言えることで、初めの15文字で密度あるタイトルをつけられれば、圧倒的に記事が読まれます。

 

Q,学び、新しい視点を与えることができているか

せっかく読まれるのだから、その時に楽しいだけではなく、意味がある記事を目指しているそう。というのも、読者がその記事をクリックするかは、その記事に「利益がある」と思うからであって、「この記事を読んだら、私の人生アップロードできるかも」と思い、読むからです。

 

Q,人間らしくかけているか

「綺麗な文章は読みたくない。」と菜央さんは切り出しました。誰かのざらっとした感覚や誰かのあったかい対応、ふとした疑問をちゃんと書いてあるか、すなわち「誰かの体温が含まれた記事を読みたい。」と菜央さんは話されていました。

自分の感じた感覚を出さない方がラクです。自分を出すことは勇気がいることですから。しかし、取材した人がどう捉えたか。その角度がある方が心に残る記事になるものです。「個性を出して書くことは難しいけれども、最終的に目指した方がいい。」と菜央さんはアドバイスをくださいました。

Q,主語が読者になっているか

テレビや新聞が面白く感じないのは、主語が読者になっていないから。「私はこう思ったけど、あなたはどう思う?」という感覚を記事に宿します。

例えば、「ほしい未来は、つくろう。」というキャッチフレーズは、「君の欲しい未来は何?」と、どんな未来を思い描くかは、みんなに委ねています。つまり、考える余地、参加性がある文章になっています。

参加性のある記事が集まれば、そのメディアには共感が集まります。明日書く文章の先に、あなたはどんな読者を思い描きますか。

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