社会と会話するなら

全15回のライター養成講座も終盤戦。第10回目のテーマは「社会と会話するなら。~情報発信とのつき合い方~」ということで、スマートニュース株式会社の望月優大さんを講師にお招きしました。

望月さんは経済産業省、Googleなどを経て現職のスマートニュースでご活躍されています。しかし、興味を引くのは自主的に行なっている社外での活動。NPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めつつ、個人ブログや各種メディアを通じた情報発信も行っています。特に4年前の「I WILL VOTE」、現在行なっている「スタディークーポンイニシアチブ」の企画は印象深いものです。

しかし、望月さんは3年前のスマートニュースに入社する前までは、SNSのフォロワーはほぼいない、ブログも始めていない、外部媒体へ寄稿など書き物もしていない、もちろん読者も応援してくれる人もいませんでした。

だからこそ、そんな「普通の人として学んできた学びを伝えたい」と初めにお話されました。

 

社会と会話するなら

さて、テーマにもある「社会と会話する」とは、何を意味するのでしょうか。望月さんはこう説明されました。

あったこともない、けれども確かに同じ社会を生きている人たちのうちに、
自分が利用可能な言葉やイメージを用いて理性的なやり取りを継続的に発生させること。

理性的な、というのは、「炎上を起こす形ではなく」ということを指し、静かに炎を燃やし続けるイメージだそうです。

もし社会と会話するスキルを身につけることができたなら、「自分の社会を自分のものだと少しだけ思えるようになり、公共性の感覚をもつことができる。」と考えているそうです。

 

情報発信のWHYとHOW

さて、情報発信をする上で必要になる力は、大きく2つに分けるならば「情報発信のWHY、すなわち伝えたいことの核心を自ら定義するづける力」と、「情報発信のHOW、すなわち伝えたいことを伝えたい人に伝えられる力」。

さらにいうと、HOWよりもWHYの方が何倍も重要であり、自分たちの活動の定義をシンプルに説明できるまで詰めることが大切だそうです。

 

「I WILL VOTE」旋風

さて、望月さんの転機となったのが「I WILL VOTE」というプロジェクト。これは「国政選挙における若者世代の投票率向上を目指すキャンペーン」として2013年にリリースされたFacebookやTwitterなどのSNSサービスを主にツールとして使った企画です。

これを先ほどのHOWとWHYに当てはめてみると

情報発信のWHY
自分を含む若い世代の人々に政治に対する関心をもってほしい。投票率を上げることで、学生世代向けの政策をもっと充実させる機運をつくりたい。

情報発信のHOW
当時若い世代が主に活用していたFacebookを用いたキャンペーンを設計し、そこを中心に紙媒体やテレビなどへも発信を波及させる

結果、いいね!は1万件を超え、望月さん自身の転機となりました。

 

恥ずかし気もなく最後までやりきる

I WILL VOTE からの学び。それは、「Tipping point(転機)を超えるための加速のきっかけはどこにあるかわからない」ということ。 だからこそ、どうにかして手に入れたいもの。望月さんの場合は、たまたまSNSをみていた友人のおじさんが実業家で、さまざまな出会いがうまれたことがきっかけだったそうです。そして結果的に「ゼロイチから何とかして恥ずかし気もなくやりきったこと」がGoogleから評価され、入社することになりました。

 

伝えたいことの核心を自ら定義づける力

WHYのまとめとして、誰もがいきたいその場所にたどりつくには、核心に向かって余計なものをそぎ落としたほうがいいということ。つまり、WHYを研ぎ澄ますほど、瞬間的に、無関心な人に届けられることがあるのではないのか、ということに気付いたそうです。「自分は何を訴えたいいのか。なぜ訴えたいのか。なぜ自分なのか。」なぜのもやもやから逃げず、伝えたいことの核心を自ら定義づける力を身につけていきたいですね。

一方、情報発信のHOWは、伝えたいことを伝えたい人に伝えられる力のこと。

そして、WHYは自分にしかできないことで、HOWは仲間をつくること。 そして、WHYがなければ仲間はできないということ。

私たちは社会とどのように会話をし、会ったこともない、でも確かに同じ社会に生きている人たちのうちに、自分が利用可能な言葉やイメージを用いて、理性的なやり取りを継続的に発生させるか。一人一人が情報を簡単に発信できる時代だからこそ、考えてみる価値がありそうです。

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