出版による情報発信の価値

情報発信力UP講座の第8回目は、「出版を活用した情報発信」と題し、英治出版株式会社の代表取締役、原田英治さんをお招きいしました。原田さんは慶応大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。退職後、家業の印刷会社を経て、1999年有限会社原田英治事務所を設立。2000年に現在の英治出版株式会社に改組し、代表取締役に就任。また、「ブックファンド」という新しい出版ビジネスモデルを考案し、著者を応援する出版事業を展開しています。

原田さんにとって宮崎は48年ぶり2回目の訪問だそうで、始めに参加者の方に向け「お土産はなにがオススメですか」「どこで何を食べたらいいですか」という2つの質問を投げかけ、会場の雰囲気を自然と盛り上げていました。

英治出版といえば、現在「ティール組織」が大ヒットしていますが、英治出版は大手出版会社とは大きく一線を画している印象を持つ方も多いのではないでしょうか。英治出版の経営理念である「誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する」「絶版にしない」「パブリッシャー宣言」に現れている通り、著者の夢や目標を前進させる「応援ビジネス」として、出版という手段を使っています。

 

出版にまつわる厳しい現実

さて、みなさんもご存知のように出版物の売り上げは年々減少し、売上額の推移を見ると1996年をピークに2017年の1兆3000億に減少しています。一方で、新刊タイトル数は年々増え続け、1タイトルごとの売れ冊数減少し、1タイトルの数が出ないので、また新しいタイトルが出版される悪循環に陥り、書店の新刊棚における寿命は約2週間ほどだそうです。大手出版会社は年に4000タイトル以上、つまり月に350タイトルほど出版している計算になります。

それでも出版にできること

それでも出版という情報発信には、可能性があります。確かにテレビや雑誌では大勢に広く発信できるメリットがありますが、出版という手段を使えば、深く長く伝えることができ、広告主への配慮を必要とせず、著者の意向を最大限いかすことができます。

また、デジタル時代だからこそ本の価値が高まっています。例えば、氾濫するネット情報の中で、本は「信頼度が高い編集済みの情報」として捉えてもらえます。また、「amazonでのSEO効果」が高く、著者の団体よりも上にヒットする可能性があり、ネット上の書籍の価値は高いといえます。また信頼を獲得するもう一つの理由として、書籍として情報を発信するには、一定のページ数をかかなければならず、おのずとその本のテーマを深く掘り、内容の濃い書籍が出来上がるということがあげられます。さらに、「執筆の中で表現を磨くことができる」というメリットもあります。というのも、断片的だった情報が体現化されていったり、メッセージの優先順位付けができたり、立ち止まって情報を固定化できるそうです。著者の中には「本を書くことで、事業の不公正が見えた」と実感している方も多いそうです。

 

ブックファンドという取り組み

英治出版では、2006年からブックファンドと呼ばれる、出版や企画に共感する出資者から資金を集めて本を出版し、販売実績に応じて損益を分配する新しい出版ビジネスモデルを始めました。この事業の特徴として、出版本来の目的に沿ったプロジェクト設計が可能になる、過去に出版実績のない著者でもデビューできる可能性が高まる、ヒットした場合、印税収入+組合利益分配金で著者の収入は大きくなるといったことが挙げられます。これまでに、企業のブランディング活動の一環や、作家デビューの機会など、著者や出版を通じた著者の目標を応援してきたそうです。

ワンブックワンメッセージ

ここで原田さんから出版を考えている方に向け、アドバイスをしてくださいました。その中から3つをご紹介します。

1、あくまでも本業を前進させるために、その本を「どう使うか」を考えることが大切。
2、ワンブックワンメッセージ(言いたいことをあれこれ詰め込むのではなく、その本を一言で言えることが望ましいそうです。)
3、最初から幅広い読者を想定せず、一人の具体的な読者をイメージして書くこと。

その後、お試し出版相談の時間が設けられ、参加者の出版の野望の相談に答えられていました。

後半は情報発信講座の監修を担当された齋藤潤一さんと対談が行われました。その中で、受講生からの「営業黒字を出し続けるコツは?」「ティール組織が売れた理由は?」などの質問に答えながら、出版による情報発信の可能性について考えを深めました。

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