ヒト・モノ・コトを編み続けるため

ライター養成講座2は「ヒト・モノ・コトを編み続けるために」と題し、TOKYObeta Ltd.代表であり、編集者の江口晋太朗さんを講師にお招きしました。江口さんは「都市や生活の再編集」をテーマに、都市政策や地域再生、事業開発やコンセプト設計、研究リサーチに取り組まれています。

 

社会を編集する

社会、個人、組織のあり方は常に変化しています。その向かうべき方向を指し示すのに、「編集」という視点から、世の中を俯瞰的に捉えることで、社会のあるべき姿が見えてくるのではないかと、江口さんは話されました。

さて、編むことによって生まれることはなんでしょうか。編集とは、様々なものや問題を集めて、改めて価値を作ること、と江口さんは考えます。

「価値がどの方向に向けばいいのか、なんのためにやっているのか。」

そう考える視点に必要なのは、自分に関係のないことを自分のことのように考えることが大切。そして、価値観を他人事として捉えるのではなく、自分たちごととして、人を中心にデザインしているそうです。

具体例として江口さんは、全国のあらゆる地方で携わったお仕事を紹介してくださいました。

HAGISO(東京都根津)

萩荘は谷中銀座商店街から一本路地を入った静かな住宅地にある築60年の木造アパート。2011311日、東日本大震災の際に解体することとなりますが、最後に「建物をまるごと作品にしよう」「建物の葬式をしよう」という二つのテーマのもと、「HAGISOに死化粧をほどこして、わいわい踊ってやって壊せたら」との想いで「ハギエンナーレ」を開催。3週間の会期中には、SNSの拡散で見聞きした知人や、通りすぎる人々たちの参加も含め、計1500人が集まりました。その様子をみた大家さんはこの場所に可能性があると感じ、20133月に“最少複合文化施設”としてHAGISOを生まれ変わりました。

 

hanare(東京都谷中)

hanareは谷中内にある空き家をリノベーションして、宿泊施設を点在させ、「街全体を一つのホテル」とした取り組みです。例えば、大浴場は銭湯、レストランは地元の食堂、文化体験は稽古場、レンタサイクルは自転車屋、など「既存のまちのコンテンツをもう一度つなぎ合わせるとことで、大きなホテルに見立てられました。

 

「鳥取藝住祭」2015(鳥取県)

鳥取藝住祭とは、各地域で活動する団体・個人が主体となり、アーティスト、映画監督、ミュージシャンなど表現者の生み出す可能性を信じ、彼らと地域の人々と共にそれぞれの身近な日常の中に藝術がある状態、つまり「藝住」をつくりだしていく試み。江口さんはパンフレットやウェブサイトなどの広報物の編集製作、タグライン「日常を拓く」のコピーライティング、広報戦略のアドバイスなどを担当されたそうです。

 

STAND GINZA/80(東京都銀座)

201711月、銀座3丁目に新しい形のマーケット「STAND GINZA / 80」をオープンしました。このマーケットの1番の特徴は、「誰でも」「小規模」で「1日」から出店可能なマイクロマーケットスペースであること。銀座は個性的で文化の香る街としての歴史を積み重ね、世界に誇る商業エリアとしても名高いですよね。そんな銀座にあるからこそ、このマーケットの価値があるのです。

また、「STAND GINZA/80」が目指すものは、

・小さな資本の支え合い
・チャレンジを支える仕組み
・出店者も参加者になる
・作り手同士、使い手同士の交流の場
・分析を超える偶発性

今後、さらに作る人と、応援する人が集まる、日本の新たしいマーケットの形が生まれていくのが楽しみですね。

編集とは、自分だけの世界と、関係のない世界との「間」に、自分たちで共有したいと思う「モノ・コト」をどう編むかという行為だとすると、「自分ごと」という視点で、ものごをととらえられたら、見えてくる世界が変わってくるのかもしれません。

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