地域こそ、クリエイティブを。

ライター講座の第9回目は「モノをモノガタリに。共感されるストーリーの作り方」がテーマ。講師はクリエイティブディレクター、 コピー&シナリオライター、東北芸術工科大学非常勤講師の田中淳一さんです。
田中さんは、なんと延岡市のご出身。早稲田大学第一文学部演劇専修卒業後、ADKにてほぼ全業種の商品広告、企業広告を担当し、「Creativity for Local, Social, Global」を掲げPOPSを設立。国内外の名だたる広告賞を受賞してきました。

地域こそ、クリエイティブを。

田中さんは延岡市で育ち、大学進学を機に上京。卒業後は大手広告代理店で超有名どころの大企業の広告をつくる生活を送っていました。

そんな田中さんが地域に関わるきっかけとなった出来事が2つあります。
1つは2010年におきた宮崎での口蹄疫。ニュースを見ると、地元の方々が真っ白の服を着て、街中に消毒を巻いている光景が目に飛び込んできました。

2つ目は、2011年の東日本大震災。翌日に大事なプレゼンを控えていましたが、その企画もすべてチャラに。そして震災直後からは、月に100時間以上残業して作ったCMたちが、すべてACになっていました。

この立て続けに起きた2つの出来事から、「自分は一体、何の役に立てるんだろう」「クリエイティブが世のなんの役に立つんだろう?」と、そんな疑問が身体中を駆け巡りました。

自分の手で瓦礫は撤去できないけれど、クリエイティブだからこそできることがあるのではないか。ただただ、クリエイターとしての意地が田中さんを動かしました。

震災から半年後、「てをつなごう」という三陸鉄道をめぐる一本の動画を作りました。もちろん、歌い手の槇原敬之さんも含めすべてボランティア。制作途中、電車が仮設テントの前を通ると、お母さんと子供がずっと手を振っている姿を見たときに、何か一つ、クリエイティブも人の役に立てるのだという希望が見えたそうです。

この経験から、クリエイティブはどうしても東京に集中しているけれど、地域にこそクリエイティブが必要なのではないかと思うようになり、最近では20の都道府県で活動し、週6日は東京以外で過ごす生活を送っているそうです

地域から発信する上で、知っておきたい5つのこと

さてここで、テクニカルなお話を。地域から発信する上で、よりその発信力を高めるためには、いくつかのことを念頭に置いておくと良いでしょう。

1、地域有効メディアはSNS
スマホ利用率は71.3%までに上り、SNS利用率も71.3%の国民が利用しています。

2、増やすべきは、顧客ではなく、ファン
岐阜にあるスキー場やイギリスのビール会社を例に挙げて説明してくださいました。

3、ソーシャルグッドという視点
90%の国民は利益追及だけじゃ響かないそうです。

4、スペックからストーリーへ
アップル、ブルーボトル、スターバックスからも学べるように、ただスペックを売るのだけはなく、物語が重要で。日本人はものづくりは得意ですが、ストーリー作りが苦手みたいです。

5、情報の999,996パーセントはスルーされる時代
インターネットの情報は8ヶ月ごとに2倍に増え、もちろんただ発信するだけでは見てもらいたい人に見てもらえません。

 

事例をひも解いてみよう

中盤では、今まで田中さんが取り組まれてきた鳥取市、延岡市、登米市など、様々な自治体や地域の企業の事例を「その広告の視点」を軸に説明してくださいました。

 

 

地域でクリエイティブを行うポイント

 

最後に地域でクリエイティブを行う際にポイントとなることを教えてくださいました。

1、対話と取材を重ねる
ヒントは紙に書いていない、現場にある。

2、課題こそ個性なり
地域の企業の課題はすべて異なり決して同じではない。
課題の本質をしっかり探求すれば
自ずと豹変もオリジナルのもになり、財産となる。

3、常にに対象物を客観視する
対象物を意識的に距離を取ることが有効

4、中長期的に通用するコンセプトを考える
グローバルやソーシャルの視点を常に持って考える。

5、地域や企業を少し背伸びさせる
現状維持ではなく、ストレッチさせることが大事。経営者と一緒に企業の未来を考えよう。

6、ものを「ものがたり」に紡ぐ
ただ単にスペックのままになっている場合が多いが、スペックのままでは届きにくい。

 

地域にはまだまだクリエイティブが足りてなく、クリエイティブの有効性への理解もまだ不十分なのが現状。正しいことを正しく伝えるのは正解ではない。伝えたいことを伝わるようにすることが大切だと田中さんは話されていました。

でも、だからこそ、地域はクリエイティブで変わる確率は高いのではないでしょうか。これから宮崎でクリエイターを目指す方、どんどん地域を引っ張って欲しいと感じました。

 

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